退職日を会社が決める違法?勝手に決められるケースや対処法も紹介
最終更新日 2024年7月7日
転職先が見つかった、もしくはやりたいことを見つけたいなど様々な理由から会社を辞める決断をした方もいるはずです。会社を辞める際には、最後に出勤する日、いわゆる退職日をいつにするかが問題になります。
この退職日を会社が勝手に決められることがあります。労働者側の立場からすれば、退職日を会社に勝手に決められるのは違法なのではないかと疑問や不満を持つ方もいるはずです。基本的に退職日を決めるのは労働者ですが、中にはそうでないケースもあります。
本記事では退職日を会社に決められるのは違法なのかを中心に、勝手に決められるケースや対処法についてご紹介していきます。
この記事を読むことで、退職日を勝手に会社に決められるのは、許されるのかどうかがわかります。ぜひ最後までご覧ください。
退職日を許可なく会社が決めるのは違法
結論から言いますと、退職日を許可なく会社が決めることは明確に違法というわけではありません。しかし、基本的には退職者自身が決めることのできるものとされています。その理由は労働者側に退職の自由があるからであり、退職日を許可なく会社が決めることはあまりいいことではないというのが実情です。
法律において「退職日を許可なく会社が決めてはいけない」というルールこそありませんが、民法第627条において、退職の申し出から2週間が経過すれば退職できるというルールがあります。
※(参考:厚生労働省公式サイト)
その場合、民法第627条のルールを無視するような形で許可なく会社が決めてしまえば、違法と指摘されても仕方がないと言えるでしょう。
退職日を会社に決められるケース
基本的に許可なく退職日を会社が決めることは明確に違法ではないものの、明らかに問題があることは民法の条文からもわかります。そんな中、退職日を会社に決められるケースもあります。
- 会社都合による退職
- 契約期間の終了
- 定年退職
- 懲戒解雇になった場合
会社側が主導権を握れるケースが多く、労働者側が率先して決めにくいケースが目立ちます。ここからは退職日を会社に決められるケースについてご紹介します。
会社都合による退職
退職日を会社に決められるケースの1つ目は会社都合による退職です。
会社都合による退職は、基本的に会社側が主導して退職してもらう形になるため、労働者側の意向はあまり反映されにくく、退職日も会社側が勝手に決めてしまいます。以下の5つが主な会社都合による退職の理由です。
- 会社の倒産やリストラ
- 職場でハラスメントがあった
- 契約内容と明らかに異なっていた
- 賃金未払いなどがあった
- 退職勧奨を受けて辞めた
これらはあくまでも会社都合による退職の一例ですが、会社都合による退職、特に倒産やリストラの場合は会社側が断行した日が退職日の扱いになるため、会社側に決められたとしてもどうしようもないことが言えます。ここからは、具体的にそれぞれの内容を確認しましょう。
契約期間の終了
契約期間の終了による退職は、会社都合による退職の一例です。
契約期間の終了による退職のケースでは、労働契約の更新が行われず、契約期間が満了することで労働関係が終了します。これは、会社側が一方的に労働契約を解除することに等しく、労働者にとってはコントロール不可能な状況です。
契約期間が終了すると、その日が退職日となります。たとえ労働者が契約終了日より後の日付で退職を希望しても、契約が終了している以上、その日を退職日と認める必要があります。
このような状況では、労働者は契約終了に伴う退職を受け入れ、次のステップへと進む準備をすることが求められるでしょう。契約期間の終了による退職は、特に契約社員や期間雇用の労働者にとって一般的なケースであり、契約更新の有無については常に意識しておく必要があります。
定年退職
退職日を会社に決められるケースの3つ目は定年退職です。
定年退職は会社が定めた定年の年齢に達した時点、つまり60歳であれば60歳の、65歳であれば65歳の誕生日を迎えた日が目安となり、誕生日を迎えた月の月末を退職日とするケースや定年を迎えて最初に訪れる3月31日が退職日になるケースもあり、このあたりは各企業でバラバラと言われています。
定年退職のタイミングはいつなのかというのは就業規則で定められています。ですので、就業規則で詳しいタイミングをチェックしてみることがいいでしょう。
懲戒解雇になった場合
退職日を会社に決められるケースの4つ目は懲戒解雇です。
懲戒解雇は会社側が一方的に契約を打ち切る状態を指すため、その性質上、退職日を会社側が勝手に決める形になるほか、勝手に退職日を決めるのはおかしいと主張するのはいささか無理があると言えます。
一方、先に退職届を出し、その後懲戒解雇になるケースもあります。この場合、優先されるのは懲戒解雇で、退職の申し出が有効となる2週間後になれば自主退職という形になります。しかし、それ以前に懲戒解雇をすれば懲戒解雇が優先され、懲戒解雇処分を下した日が退職日となるのです。
自主退職が認められるタイミング以降は懲戒解雇ができなくなるため、会社側にとっては2週間以内の決断に迫られる場合もあります。
退職日を会社が決めず相談される可能性がある状況
基本的に退職日はよほどの理由がない限り、会社が独断で決めることは考えにくいと言えます。そのため、実際に退職日を決める際には労働者と相談した上で決めたいと考えるのが普通です。特に、退職日を相談される可能性がある3つの状況をご紹介します。
- 繁忙期で忙しい
- 人手が足りない
- 引き継ぎが間に合わない
いずれのケースも会社側もある程度助けを求めているような状況であり、無下にできない事情を感じさせます。ここからはこの3つの理由について掘り下げていきます。
繁忙期で忙しい
退職日を会社が決めず相談される可能性がある状況の1つ目は繁忙期で忙しい状況です。
例えば、繁忙期を迎えているタイミングで1人の従業員が辞めたいと申し出たとします。退職の申し出から2週間後に辞められると繁忙期なので業務が回らない可能性も十分に考えられます。すると、会社側としては繁忙期が終わるまで仕事を続けてくれないだろうかと従業員に相談を行うことは十分に考えられます。
もちろん、退職したい従業員からすれば退職の申し出から2週間後には辞めたいと考えるのも無理はないですが、冷静な話し合いを行うことで調整を行うことは可能です。また繁忙期にもかかわらず無理に辞めて損害を与えれば損害賠償請求をされる可能性もあるため、相談を行うことはどちらにとってもおすすめです。
人手が足りない
退職日を会社が決めず相談される可能性がある状況2つ目は人手が足りないことです。
人手が足りないから退職をもう少し待ってほしいと会社側が持ちかけることは十分に考えられます。特に病気で一時的に人手が足りなくなっている場合は一定期間で元に戻る可能性も十分に考えられるため、もう少し待ってほしいと懇願することは十分に考えられます。
それでも退職を強行することは可能ですが、そのせいで損害が生じた場合に損害賠償請求のリスクを考えると、人手が足りないのでもう少し待ってほしいと懇願されたら相談に乗っかることが無難です。
引き継ぎが間に合わない
退職日を会社が決めず相談する可能性のある状況の一つは、引継ぎが間に合わない場合です。
業務内容によっては、引継ぎに時間がかかることがあり、特に複雑な業務や詳細なマニュアル作成が必要な職種では、十分な引継ぎ期間が不可欠でしょう。このような場合、会社側は業務の円滑な継続を考慮し、退職を少し遅らせるよう従業員に相談することがあります。
引継ぎの質を確保するため、退職日の調整が必要になることが一般的です。従業員としては、自身の後任者に対する責任感から、このような相談に応じることも十分に考えられます。
退職日を勝手に会社に決められた時の対処法
もしも万が一退職日を勝手に会社に決められた際にどんな対処法があるのかをご紹介します。対処法は以下の通りです。
- 労働基準法を確認する
- 会社との交渉を行う
- 労働基準監督署に相談する
- 退職代行サービスを利用して辞める
会社に勝手に決められた場合にはまず法律を確認するほか、専門家に相談してみることもおすすめです。ここからは勝手に決められた際の対処法についてご紹介します。
労働基準法を確認する
会社による勝手な退職日の設定に直面した場合、最初の対処法として労働基準法の確認が必要です。
労働基準法律は、雇用者の権利と義務に関して定めており、勝手な退職日の設定が法的に許されるかどうかを判断する基準となります。また、民法における退職の自由に関する条文も重要です。
これらの法律はインターネットで検索しやすく、条文を確認することで自身の状況に合った適切な対応策を見つけることができます。法的な側面を理解することで、不当な退職日設定に対して適切に対処するための第一歩となるでしょう。
会社との交渉を行う
退職日を勝手に会社に決められた時の対処法の2つ目は会社との交渉を行うことです。
何を根拠にして退職日が決まったのかをまず問いただしてみることが大切です。例えば、退職の申し出を行った日から2週間後を会社側が指定した場合には法律に沿う形なので、特に問題はありません。しかし、2週間以降の日時になっている場合には交渉の余地があり、その理由を聞いてみましょう。
先ほどのように繁忙期であったり引継ぎが不十分であったりすれば会社と交渉を行った上で判断することになります。強行すれば損害賠償請求のリスクも伴ってくるため、慎重な対応が求められます。
労働基準監督署に相談する
会社によって勝手に退職日が決められた場合、労働基準監督署への相談が有効な対処法の一つです。
労働基準監督署は、労働に関するトラブルや疑問を解決するための公的機関で、労働者の権利保護を目的としています。相談窓口では、専門の職員が自身の状況を法的な観点から分析し、具体的なアドバイスを提供します。
例えば、退職日の強制が労働基準法に違反しているかどうか、どのような対応を取るべきかなど、具体的なケースに応じた指導を受けることが可能です。
また、必要に応じて、労働基準監督署が会社に対して指導や調査を行うこともあります。このプロセスを通じて、自身の権利を守り、会社とのトラブルに適切に対応するための基準を得ることが可能です。
労働基準監督署の相談は無料であり、労働者が直面する様々な問題に対して信頼できるサポートを提供します。
退職代行サービスを利用して辞める
退職日を勝手に会社に決められた時の対処法の4つ目は、退職代行サービスを利用して辞めることです。
退職代行サービスは多彩で、弁護士が監修する退職代行サービスもあれば、弁護士法人が運営する退職代行サービス、はたまた労働組合が運営する退職代行サービスなど実に多彩です。それぞれにメリット・デメリットがあるほか、よりスムーズな形で退職を目指す際に効果的なケースなどもあるでしょう。
例えば、民間企業が運営する退職代行サービスにおいて退職の通知を行ってもらうのもいいですし、弁護士が運営する退職代行サービスを利用して退職日はもちろん、別の交渉を行うのもいいでしょう。いずれにしても、退職日を決められてしまった場合には退職代行サービスを用いて退職日を変えてもらうような形を目指すのがおすすめです。
退職日を勝手に決められて辞められないならEXIT!
退職日を勝手に決められるケースは意外と多く、なんでこの日に辞めなきゃいけないの?と強く疑問に思う方もいるはずです。そのせいでスムーズに辞められないこともあるでしょう。特に転職が決まっている方からすれば1日でも早く辞めたいと考えるのが普通です。会社に退職日を勝手に決められて辞められない、そんな悩みを解決してくれるのが退職代行サービスであり、特におすすめなのが退職代行EXITです。
退職代行EXITは相場から見ても安く、弁護士が監修している退職代行サービスです。これまでに扱った件数も多く、様々なケースに対応できるのも特徴的です。退職日を勝手に決められて困っている人、転職先の内定を得て1日でも早く辞めたいと思っている方は退職代行EXITを中心に、退職最高サービスを活用していき、1日でも早い再スタートが切ることができるようにしていきましょう。