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退職の引き継ぎで後任がいない!原因や対処法、辞める際の注意点も紹介

退職の引き継ぎで後任がいない!原因や対処法、辞める際の注意点も紹介

最終更新日 2024年7月7日

この記事の監修者
新野 俊幸(「退職代行」専門家)
自身が会社を退職する際に苦しんだ経験から、日本初の退職代行サービス「EXIT」を2017年に開始。「退職で苦しむ人をなくしたい」という思いで、退職代行を日本に広め続けている。

 

今の会社を辞めたいと思っていても、「後任がいないため会社に申し訳ない」「引き継ぎができずトラブルに発展するのが怖い」と、退職を躊躇している方もいるのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、引き継ぎができなくても退職できる理由や、退職の引き継ぎで後任がいない時の対処法について詳しく解説します。

また記事の後半では、引き継ぎが難しい時のおすすめ退職理由もご紹介します。引き継ぎで後任がいなくても退職できることが理解できれば、安心して再就職への一歩を踏み出せるでしょう。

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引き継ぎする後任がいない状況でも退職できる?

引き継ぎの後任がいない状況で退職を申し出ることは、誰にとっても気が引けるでしょう。しかし、後任がいない状況は会社や上司の責任であり、退職をためらう必要はありません。

また、退職は個人の自由であり、法的にも認められている権利です。引き継ぎする後任がいない状況でも退職が可能な理由を、法的な観点から解説します。

法律上、退職意思を伝えた2週間後であれば可能

現在働いている会社を退職する場合、法律上は原則として、退職意思を伝えた2週間後であれば退職できます。民法第627条第1項で定められているルールです。

また、引き継ぎする後任がいない状況であっても、問題なく退職できます。引き継ぎや後任を決めるのはあくまでも会社であり、従業員の規則や義務ではありません。

退職意思の申し出や後任への引き継ぎに関しては、会社が就業規則で独自のルールを定めることも可能です。しかし、就業規則はあくまでも会社独自の運用ルールに過ぎず、原則として法律のほうが優先されます。

後任がいないからといって退職をためらっていると、いつまで経っても退職できません。「後任が見つかるまでもう少し待ってくれ」と言われても、会社に従う必要はないのです。

損害賠償を請求される可能性は極めて低い

引き継ぎできる後任がいないからといって、会社から損害賠償を請求されることはほとんどありません。後任がいない状況で退職することは、基本的に従業員の責任ではないためです。

従業員の契約違反や不法行為により、会社に損害が生じた場合、会社はその従業員に対して損害賠償を請求できます。従業員の退職により損害が生じたとして、損害賠償を請求されるケースもあるのです。

例えば、申し出がない無断退職や入社後すぐの退職、替えの効かない業務中の退職については、損害賠償請求を受けることがあります。しかし、後任がいない状況での退職は、契約違反や不法行為には該当しないため、会社も損害賠償を請求できないのです。

ただし、他の理由で会社に悪い印象を与えている場合は、後任がいない状況での退職とは別の理由で損害賠償請求を受ける恐れがあります。円満退社を実現するためにも、退職する際は誠意ある行動を意識することが大切です。

退職時に引き継ぎできる後任がいない原因

退職時に引き継ぎできる後任がいない状況は、多くの会社でよくあることです。そのことを理解していれば、そもそも引き継ぎや後任に関して悩む必要はありません。

また、後任がいない状況のほとんどは、会社に責任があります。退職時に引き継ぎできる後任がいない主な原因を理解し、安心して退職に踏み切りましょう。

そもそも後任が必要ない役職

退職時に引き継ぎできる後任がいない原因の1つに、そもそも後任を用意する必要がない役職であることが挙げられます。例えば、以下のような役職は、後任が不要だという判断をされやすいでしょう。

  • 会社にとって絶対に必要な仕事をしているわけではない役職
  • 縮小している事業で将来的にはクローズする予定の仕事に就いている役職
  • 雇用を確保するためだけに用意された仕事をしている役職

後任への引き継ぎは、その仕事が今後も同じレベルで続くことを想定して行われるものです。会社にとって重要性が低い仕事や、元々なくす予定であった仕事に就いている場合、会社は後任を用意する必要はないと判断するでしょう。

すぐに後任が見つかる

退職時に引き継ぎできる後任がいない場合は、すぐに後任が見つかる状況であることも考えられます。退職予定者と同じように仕事を続けられる人がいるなら、わざわざ時間を割いて引き継ぎを行う必要はありません。

例えば、引き継ぎ用のマニュアルが完備されている会社なら、マニュアルを熟読すれば誰でも後任になれる可能性があります。また、退職予定者と似た仕事をしている人が何人もいる場合は、そのうちの誰かが後任になれるでしょう。

すぐに後任が見つかる体制を整えている会社では、以下のような理由により、退職予定者に引き継ぎを行ってもらいたくないという意図が働いていることも考えられるのです。

  • 退職予定者はすでにやる気がなくなっているので、きちんと引き継ぎをしないリスクがある
  • 退職予定者が会社に不満を抱いている場合、後任に愚痴をこぼして後任のモチベーションが下がってしまう恐れがある

このようなリスクを想定している会社は、あえて退職予定者に引き継ぎをさせないケースもあります。

労働条件が悪く人材が集まらない

退職時に引き継ぎできる後任がいない原因としては、会社の労働条件が悪いため人材を確保できないこともあります。退職予定者の後任に引き継ぎをさせようと思っても、そもそも人が足りずに後任がいない状況です。

労働条件が悪いために従業員が増えない原因は会社にあります。このようなケースでは後任がいないため、会社は次のような対応を取らざるを得ません。

  • 退職者がしていた業務を別の部署に移管する
  • 退職者の業務を複数の従業員に分ける
  • 上司や同僚が業務をそのまま受け持つ

また、退職者しかできない仕事であった場合は、他にできる人がいないため業務自体をなくすことになるでしょう。

予算に制約があり雇えない

予算に制約があり後任となる人材を雇えないことも、退職時に引き継ぎできる後任がいない原因の1つです。この場合も会社に大きな責任があります。

従業員を1人雇うためには、さまざまなコストが必要です。採用活動にかかるコストや入社後の教育にかかるコスト、一人前になるまでに支払う給与コストなどが挙げられます。

これらの人件費を会社として捻出できなければ、今いる従業員が頑張って会社の利益を増やし、新たな雇用を生み出すための予算を作る必要があります。

また、削減できる部分を企業努力で極力カットしていくことも重要です。いずれにしても、会社の業績が上がらなければ、いつまで経っても後任となる人材は雇えないでしょう。

退職の引き継ぎで後任がいない時の対処法

自由な退職は従業員の権利であるとはいえ、あまりにも自分勝手な辞め方で会社を去ろうとすると、会社や他のメンバーに迷惑をかけてしまいます。退職日までに肩身の狭い思いをしてしまうこともあるでしょう。

後任がいない場合も最後まで誠意を持ち、会社や他のメンバーに迷惑をかけないように振る舞うことが重要です。退職の引き継ぎで後任がいない時の対処法を見ていきましょう。

辞める前になるべく重要な業務は行っておく

退職の引き継ぎで後任がいない時には、辞める前に重要な業務を可能な範囲で処理しておきましょう。

後任がいない場合の退職では、他のメンバーが退職者の残務を引き継ぐことになります。今までその業務を全くやったことがなければ、従業員に大きな負担がかかるでしょう。

しかし、辞める前に重要な業務だけでも済ませておけば、仕事を引き継ぐメンバーの責任や業務負担が軽くなります。

現在進行中の業務のうち、できる範囲で重要な業務を行っておくことで、会社やメンバーに与える印象も良くなるでしょう。

現在のメンバーに引き継ぐべき業務内容を伝える

引き継ぐべき業務内容を現在のメンバーに伝えておくことも、退職の引き継ぎで後任がいない時の対処法の1つです。

退職日までに自分ができない業務を残したままにしておくと、現在のメンバーがいざ引き継ぐとなった際に困ることになります。このような状況になるのを回避するために、引き継ぐべき業務内容は現在のメンバーと共有しておくのがおすすめです。

現在のメンバーに業務を引き継ぐ場合は、できるだけ複数のメンバーに業務が分散するようにしましょう。1人に絞って業務を引き継ぐと、そのメンバーだけ極端に負担がかかる恐れがあります。

また、その業務に最適なメンバーに業務を引き継ぐことも重要です。明らかに苦手だと思われる業務を引き継いでも、時間や手間がかかるため作業効率が悪くなってしまいます。

退職する時期を先延ばしにする

どうしても引き継ぎが間に合わない場合は、退職する時期を先延ばしにするのも1つの方法です。時間的な余裕が生まれるため、より多くの重要な業務を自分で処理できるようになります。

ただし、退職する時期を先延ばしにしすぎると、会社や上司から「退職しようかどうか迷っているのではないか」と思われかねません。「後任が入社するまで待ってほしい」と言われる恐れもあります。

退職する時期を先延ばしにする場合も、退職日は明確に定めておくことが大切です。退職の意思を示しておけば、会社や上司からいろいろと言われることもないでしょう。

引き継ぎ資料などを準備する

退職の引き継ぎで後任がいない場合は、引き継ぎ資料などを準備するのもおすすめです。具体的にどのようなことをすればよいのか、引き継ぎ準備のポイントをご紹介します。

業務内容をリスト化する

ルーチンワークを引き継ぐ場合は、業務内容をリスト化しましょう。ひと目で分かる一覧を作成しておけば、業務を引き継ぐメンバーが理解しやすくなります。

業務内容をリスト化したら、社内での位置付けや社内外の関係者を業務ごとに記載するのがおすすめです。過去に発生したトラブルや対処法も記載しておきましょう。

ルーチンワーク以外のイレギュラーな仕事は、一覧の外にまとめて記載します。引き継ぎ資料はできるだけ専門用語を避け、誰にでも分かる言葉で書きましょう。

各業務のプロセスを明確化する

リスト化した業務については、それぞれのプロセスを明確にしておくことが大切です。その業務をどのように進めればよいのかが分からなければ、引き継ぎ資料としての意味を成しません。

業務が発生する時期や業務の締め切り、具体的な納品物も記載しておきましょう。これらの情報と業務プロセスが分かれば、多くのメンバーが業務を引き継げるようになります。

各業務のプロセスを明確化できたら、一度上司に見てもらうのがおすすめです。分かりやすい説明になっているか、重要なポイントが抜けていないかを、上司にチェックしてもらいましょう。

必要な情報を整理しまとめる

引き継ぎ資料で必要な情報は、きちんと整理してまとめることが重要です。情報がバラバラになっていると、初めて見た人が混乱してしまいます。

例えば、営業で使用する情報をパソコンで管理する場合は、営業のフォルダを作成してまとめましょう。さらに、営業の顧客管理で必要な情報は、営業フォルダの中に顧客管理フォルダを作って整理します。

何がどこにあるのかがすぐ分かるように、フォルダ名も分かりやすいものにしなければなりません。必要な情報を整理したらメンバーにも見てもらい、分かりにくい部分があれば修正しましょう。

後任がいなく引き継ぎが難しい時のおすすめ退職理由

退職の引き継ぎで後任がいない場合、退職の意思が強くても退職理由によっては、会社や上司から引き止められやすくなります。

引き継ぎが難しいケースでも退職を実現させるためには、引き止めるのが難しい退職理由を考えておく必要があります。後任がいなく引き継ぎが困難な時のおすすめ退職理由を見ていきましょう。

親族の健康上の問題が起きた

後任がいなく引き継ぎが難しい場合は、親族の健康上の問題が起きたことを退職理由にするのがおすすめです。具体的には次のような内容が考えられます。

  • 母が病気になり、父は仕事で忙しいため、私のサポートが必要になった
  • 妻の母の介護が必要になり、妻の実家の近くに引っ越さなければならなくなった
  • 高齢になった両親の体調に不安があるため、家業を引き継ぐことにした

いずれも会社としては引き止めが難しい退職理由であり、円満退社を実現しやすいでしょう。ただし、嘘がバレると問題になるケースもあるため、退職日まで嘘のつじつまを合わせ続けなければなりません。

引越しで通勤が困難になった

退職の引き継ぎで後任がいないケースでの退職理由としては、引越しで通勤が難しくなることを伝えるのもよいでしょう。電車を使っても数時間かかるような場所に引っ越すことにすれば、会社も引き止めるのは困難です。

引越しを理由に円満退社を目指す場合は、中途半端な場所への引越しにしないことが重要です。「通勤時間が数十分長くなる」「交通費が数百円高くなる」といった理由では、会社がなんとかするという方向で話が進みかねません。

また、リモートワークを導入している会社の場合は、「毎日出社しなくてもよい」「自宅で仕事をしてもらえると助かる」と言われる可能性もあります。通勤が困難になっても働ける会社では、他の理由を考えなければならないでしょう。

子育てや妊娠で働けない

後任がいなく引き継ぎが難しい場合は、子育てや妊娠で働けなくなったことを理由にするのもおすすめです。ただし、嘘がバレないような状況にあることが前提になります。

福利厚生がある程度充実している会社や、休暇を取ることに理解のある会社なら、出社できない時期だけ休むことを勧められる可能性もあるでしょう。このようなケースで言い返せる材料がない場合は、退職しにくくなってしまいます。

また、引越しで通勤が困難になったことを理由にする場合と同様、子育てや妊娠で働けない場合もリモートワークは可能です。リモートワークを導入している会社を辞めたい場合、子育てや妊娠を理由にしてスムーズに退社するのは難しいかもしれません。

後任がいなく引き継ぎできない時に退職する注意点

後任が不在で引き継ぎができない場合、いくつか注意すべきポイントを押さえておく必要があります。例えば、退職が難しいと感じて諦めてしまうと、いつまでも今の会社でストレスを抱え続けることにもなりかねません。

後任がいない状況でも退職の意思が強いのなら、以下に挙げるポイントに注意しましょう。引き継ぎできない時に退職する際の注意点をご紹介します。

辞められないと思って諦めない

引き継ぎできる後任がいないために退職が難しいと思っても、諦めないようにしましょう。後任がいないのは会社の責任であり、従業員は後任がいなくても自由に退職できます。

ただし、法律上は退職できることが分かっていても、会社に申し訳ないという気持ちが強ければ躊躇してしまうケースもあるでしょう。このような心境に陥った場合は、退職を決めた理由を強く思い出すことが重要です。

「人間関係のストレスに耐えられない」「会社のビジョンが見えずに将来が不安」など、今の会社を辞めたいと思った明確なきっかけがあるはずです。そこに妥協してしまうと、自分の中で退職を撤回してもストレスは軽減しないでしょう。

引き継ぎできる後任がいないことを、いつまでも気にする必要はありません。辞められないと思っても諦めないことが大切です。

カウンターオファーに気をつける

後任がいなく引き継ぎできない時に退職する注意点としては、カウンターオファーに注意することも挙げられます。カウンターオファーとは、退職を申し出た際に会社から条件を提示されて引き止められることです。

「給料をアップする」「役職を用意する」「希望部署への異動を認める」など、カウンターオファーの内容はさまざまです。今より条件が良くなるようなことを提示され、退職を考え直すように求められます。

カウンターオファーを受けないためには、引き止めが難しい退職理由で押し通すことが重要です。例えば、親の病気で看病を余儀なくされることを退職理由にすれば、そもそもカウンターオファーも受けないでしょう。

なるべく挨拶まわりを行っておく

引き継ぎできないケースでの退職では、なるべく挨拶まわりを行っておきましょう。顧客や取引先に退職の挨拶を済ませておけば、退職後も会社の印象が損なわれません。

挨拶をせずにいきなり知らない人が担当者になった場合、会社に対する顧客や取引先の信頼を失う恐れがあります。関係者に対する退職前の挨拶は、ある意味社会人としてのビジネスマナーです。

引き継ぎできない後任がいない場合も、自分の業務を引き継ぐメンバーが分かっているなら、そのメンバーと一緒に挨拶まわりをするのがおすすめです。

後任がいなくてどうしても退職しづらい場合は退職代行

退職の引き継ぎで後任がいない場合でも、退職の意思を伝えた2週間後であれば、原則として退職することは可能です。しかし、会社に申し訳ないという気持ちが強ければ、退職しづらい心境になってしまう方もいるでしょう。

後任がいなくてどうしても退職しづらい場合は、退職代行サービスを活用するのがおすすめです。会社や上司とやり取りせずに退職が実現するため、ストレスがたまらないスムーズな退職につながります。

ただし、初めて退職の意思を伝えるところから活用すると、円満に退社できなくなってしまいます。どうしても退職できない場合に、奥の手として利用することで、退職代行サービスの本領が発揮されるのです。

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